2012年4月22日日曜日

マッコウクジラ骨格模型 その2

前回の資料集めに続き、いよいよ手を動かしていきます。

「さて、何で作ろうかしら・・・」

生物の骨格模型を作っておられる方のサイトやブログから、ヒントがないかと探してみました。



見つかったのは、木材を削って恐竜などの骨格模型を作っておられる方のサイト。
作品の写真をみることもできますが、ほんとにすごいです。
 2012.6.8追記 「タブリンの窓」 リンクさせていただきました。 

すごいのですが、私は出身がガンプラ村なので、木材を自在に操る自信がまるでありません。
荒削りに必要なジグソーも持ってないですし、
マンション住いなので、大量に出るであろう木屑を処理できる環境もありません。

もう1つ見つけたのは、エポキシパテで造形しておられた方のブログ。
エポキシパテなら比較的扱いなれてるし、ある程度造形してから削れるので削りカスもそんなに出ないかな。
という想定のもと、材料はエポパテに決定しました。

エポキシパテ、と一口に言っても選択肢は無数にあるのです。
詳しい解説は他サイトを参考にしていただきたいのですが、
私は以下の基準で選びました。
  • 単価が安い
  • 硬化が比較的早い
  • 硬化後の粘りが少ない
値段については、単に貧乏性なだけです。高い材料は思い切りよく使えないので・・・

また、僕は一応仕事をしているので、作業は基本的に夜もしくは休日に限られます。
平日は夜に加えて、たまに朝も作業できます。
そうなると、夜造形して、朝軽く切削、という流れを実現できる、10時間以内に硬化する材料が理想的なのです。

さらに、モーターツールをフル活用するつもりなので、サクサク削れる材質が望ましいかな、と思いました。
硬化時間が長いタイプは、なんとなく硬化後に「粘り」があるものが多いように感じます。
粘りがある材料は、研磨しづらいです。

以上の用件を満たすのは、皆さんおなじみ「馬パテ」でした。
なんと100gで500円前後です。なんというコストパフォーマンス。
 「金属のように」との謳い文句のとおり、がっちがちになりますが、
モーターツールで削る分には障害にはなりませんでした。
はじめて使いましたが、だいぶ気に入りました。


とりあえず顔だろ、ってことでまずは作り易そうな下顎から。

 これがマッコウの下顎です。人と比べるとでかさが実感できます。
ちなみに右の写真は須磨海浜水族館に展示されてるもの。

 エポキシパテに限らず、パテ類は硬化後に脆いので細いパーツはボキッといきやすいです。
そこで1mmの真鍮線で骨の中の骨を作ってから、パテを盛っていくことにします。
手で適当に曲げて半田付けします。


次に上顎~頭蓋を作っていきます。図面からじゃ良くわかりませんが、マッコウの頭はこんな感じです。


 ・・・非常に難解な形をしています。
油粘土で試作してみたり、いろんな角度からの写真を眺めたりしましたが、
やっぱり面と線の繋がり方が良くわからないところが多いので、
とりあえずベースをつくって、盛って削ってを繰り返すことにします。

薄い板状の部分が多そうなので、パテで作りにくそうだなーと思いながら試行錯誤した結果、
ラップでパテをはさんでざっくり形を作る方法を編み出しました。

これなら手に粘着してこないからパーツが薄くなっても成型しやすいし、
ラップなので硬化後にはがすのも簡単です。
この方法、いろいろ応用が利くかもしれません。




 硬化後こんな感じになりました。これをベースに整形していきます。

リューター、彫刻刀などを駆使し形を出していきます。

左の頭蓋は、まだ形状がつかみきれていないので、とりあえずそれらしくなるよう盛り盛りです。
眼窩が出来て、かなりそれらしくなってきました。 


形が出来てきたところで、下顎に歯を植えます。
ちなみに上顎には歯は生えていないようです。
歯自身の造形には、セメダインのプラ用パテを使いました。
このパテは、若干の弾性を残して 固まるので、細かいパーツを作るのに向いていると思います。

 練った後、ハナクソくらいの大きさにしたものを1mm径くらいの先細りのひも状に伸ばし、
パテのケースの外側に貼り付けます。
丸一日そのままにしてケースからはがすと、絶妙なカーブを持ったトゲトゲがたくさん出来ました。

下顎の歯根部分に三角刀で溝を掘ってから1mmピンバイスで穿孔し、
いい形の「歯」を選んで適当な長さにカットして、瞬間接着剤で穴に固定していきます。
40本程度植えてやると完成です。
 前部をちょっと前のめりに、後部を若干小さめにしてやると、非常にそれっぽくなります。
下顎はこんなもんで完成です。


頭蓋はおよその形が出来たところで、ディテールをいれていきます。
正確にやろうとしすぎると辻褄が合わないところが出てきてしまうので、程ほどにしないと精神的につらいです。
細かいところはデザインナイフやコンパスの針でコリコリ彫っていきます。
面を出すときはリューターを駆使します。

1パーツで作ってますが、本物は複雑なパーツの組み合わせによって出来ています。
その別パーツ感を出すことに精を出しました。

頭はだいたいこんなもんです。次回はボデーさんに移ります。

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